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「ジンクリッチプライマーとジンク塗料は何が違うのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
ジンクリッチプライマーは、橋梁や建築鉄骨、プラント設備などの新設工事で広く使用される防錆下塗り塗料です。
しかし、現場での部分補修には施工性を重視したジンク塗料が採用されることも少なくありません。
それぞれの特徴や用途を理解し、適切に使い分けることが、防食性能を長期間維持するためのポイントです。
本記事では、ジンクリッチプライマーの基礎知識や防錆の仕組み、有機系・無機系の違い、下地処理の重要性に加えて、ジンク塗料との違いについてもわかりやすく解説します。
ジンクリッチプライマーとは?
ジンクリッチプライマーは、鋼材の腐食を防ぐために下塗りとして使用される防錆塗料です。
まずは上記2点を確認していきましょう。
ジンクリッチプライマーの役割
ジンクリッチプライマーの役割は、鋼材をさびから守り、防食塗装系全体の耐久性を高めることです。
上塗り塗料だけでは鋼材を十分に保護できないため、防食性能の高い下塗りとしてジンクリッチプライマーが採用されており、特に重防食仕様では、防食性能を左右する重要な塗料として位置付けられています。
下塗りとして鋼材と上塗り塗料をつなぐ役割も担っており、塗膜全体の密着性や耐久性を向上させることで、長期間にわたり鋼構造物をさびから保護します。
ジンクリッチプライマーで防錆できる理由
ジンクリッチプライマーが優れた防錆性能を発揮する理由は、「犠牲防食作用」にあります。
亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が高いため、鋼材より先に腐食します。
その結果、塗膜に傷が付いた場合でも亜鉛が先に溶出し、鋼材の腐食を抑制します。
この仕組みは溶融亜鉛めっきと同じ原理です。
犠牲防食作用については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
参考記事:溶融亜鉛めっきとは?防錆のメカニズムや他のめっきとの違いを解説
ジンクリッチプライマーとジンク塗料の違い
比較項目
ジンクリッチプライマー
ジンク塗料(ジンクリッチペイント)
主な用途
新設時の下塗り
補修・補修塗装
液型
二液型が主流
一液型・二液型
施工場所
工場・管理された現場
現場補修、高所や狭所
特徴
重防食仕様
施工性を重視
上の表は、ジンクリッチプライマーとジンク塗料の違いを表したものです。
両者にどのような違いがあるのかを確認し、それぞれが向いているケースを掘り下げて見ていきましょう。
ジンクリッチプライマーとジンク塗料の違い
ジンクリッチプライマーは、新設する鋼構造物の下塗りとして使用されることを前提に設計されており、重防食塗装の一部として長期間にわたる防食性能を発揮します。
一方、ジンク塗料は、溶融亜鉛めっき面の傷や切断面、溶接部などを現場で補修する用途に適した製品です。
一液型や二液型があり、施工性を重視した設計の製品が多く、高所や狭所など作業条件が限られる現場でも施工しやすいという特長があります。
両者は似た名称ですが、「新設時の下塗り」と「補修」という役割の違いを理解して使い分けることが大切です。
ジンクリッチプライマーが向いているケース
ジンクリッチプライマーは、新設する鋼構造物の防食塗装に適した塗料です。
橋梁や建築鉄骨、プラント設備、鉄塔など、長期間にわたって高い防錆性能が求められる設備では、重防食塗装仕様の下塗りとして広く採用されています。
ジンクリッチプライマーは、上塗り塗料と組み合わせることで、防食性だけでなく耐候性や耐久性も向上します。
そのため、新設工事や大規模な塗り替え工事など、長期的な防食性能を重視する場合は、ジンクリッチプライマーを選ぶのが基本です。
ジンク塗料が向いているケース
ジンク塗料は、溶融亜鉛めっき面の傷や切断面、溶接部などの部分補修に適しています。
現場での補修作業を想定した製品が多く、一液型であれば混合作業が不要なため、高所や狭所など作業条件が限られる場所でも施工しやすいのが特長です。
設備をすべて塗り替えるのではなく、損傷した箇所だけを効率よく補修したい場合にも適しています。
二液型は耐久性を重視する場面、一液型は施工性を重視する場面で選ばれることが一般的です。
このように、既設設備のメンテナンスや溶融亜鉛めっきの補修など、新設工事ではなく維持管理を目的とした用途では、ジンク塗料が適しています。
ジンクリッチプライマーの種類
比較項目
有機系(2種)
無機系(1種)
バインダー
エポキシ樹脂など
エチルシリケートなど
亜鉛含有量
80質量%以上(乾燥塗膜)
80質量%以上(乾燥塗膜)
耐熱性
比較的低い
高い(溶接部近傍にも適用可)
耐溶剤性
やや劣る
優れる
塗装作業性
良好(扱いやすい)
やや難しい(養生管理が必要)
塗り重ね適性
良好
上塗りの相性確認が必要
主な用途
新設鋼構造物の下塗り、補修
プラント・溶接部を含む大型構造物
ジンクリッチプライマーは、JIS K 5552で規格化されており、バインダー(結合材)の違いによって、有機系と無機系の2種類に分類されています。
それぞれの特徴を、以下で確認していきましょう。
無機ジンクリッチプライマー
無機ジンクリッチプライマーは、エチルシリケートなどの無機系バインダーを使用したジンクリッチプライマーです。
耐熱性・耐溶剤性に優れており、橋梁やプラント、高温環境にある鋼構造物など、厳しい条件下で使用されます。
施工条件や塗り重ね可能時間などの管理が求められるため、施工時には適切な管理が必要です。
無機ジンクリッチプライマーは、耐久性に優れることから、長期間にわたり高い防食性能が求められる重防食塗装で採用されるケースが多く、過酷な使用環境でも安定した性能を発揮します。
有機ジンクリッチプライマー
有機ジンクリッチプライマーは、エポキシ樹脂などの有機系バインダーを使用したジンクリッチプライマーです。
施工性や上塗り塗料との相性が良く、建築鉄骨や一般的な鋼構造物の新設・補修など幅広い用途で採用されています。
扱いやすさに優れることから、現在最も一般的に使用されているタイプです。
施工条件の変化にも比較的対応しやすく、工場塗装だけでなく現場施工でも採用されています。
ジンクリッチプライマーの使い分け方
用途
おすすめのジンクリッチプライマー
橋梁・大型鋼構造物
無機ジンクリッチプライマー
プラント・高温設備
無機ジンクリッチプライマー
建築鉄骨
有機ジンクリッチプライマー
一般鋼構造物
有機ジンクリッチプライマー
有機系と無機系は、防食性能だけでなく施工環境や使用条件によって使い分けることが大切です。
無機ジンクリッチプライマーは、耐熱性や耐溶剤性に優れていることから、橋梁やプラントなど過酷な環境で使用される鋼構造物に適しています。
一方、有機ジンクリッチプライマーは施工性や上塗り塗料との相性が良く、建築鉄骨や一般鋼構造物など幅広い用途で採用されています。
使用環境や施工条件、求められる耐久性を考慮し、それぞれの特長を理解したうえで適切な製品を選定しましょう。
ジンクリッチプライマーの性能を発揮するための下地処理
どれだけ高性能なジンクリッチプライマーでも、適切な下地処理が行われていなければ本来の性能は発揮できません。
それぞれを掘り下げて確認していきましょう。
下地処理(ケレン)が重要な理由
鋼材表面にさびや旧塗膜、油分、水分などが残っていると塗膜が十分に密着せず、早期の剥離や防錆性能の低下につながります。
適切な下地処理によって素地を清浄な状態にすることで、ジンクリッチプライマーが鋼材へしっかり密着し、亜鉛の犠牲防食作用を十分に発揮できるようになります。
下地処理の品質は塗膜の耐久性にも大きく影響するため、防食性能を長期間維持するには、塗料選びだけでなく適切な下地処理を確実に行いましょう。
一般的な下地処理の流れ
一般的な施工では、まずさびや浮き塗膜を除去し、油分や汚れを清掃します。
その後、鋼材の状態に応じて適切な下地処理(ケレン)を行います。
ケレンには複数の種類があり、2種ケレンは動力工具を用いてさびや劣化した塗膜をできる限り除去する方法、3種ケレンは活膜(健全な塗膜)を残しながら、さびや浮き塗膜のみを除去する方法です。
施工箇所の劣化状況に応じて適切な方法を選択し、十分に乾燥させてからジンクリッチプライマーを塗布します。
補修工事では、既存塗膜の状態によって必要なケレン方法が異なるため、施工仕様書に従って作業を行うことが大切です。
下地処理後はできるだけ早く塗装を行うことで、素地の再発錆を防ぎ 、ジンクリッチプライマー本来の密着性や防錆性能を維持しやすくなります。
ジンクリッチプライマーは用途によって使い分けよう
ジンクリッチプライマーは、亜鉛の犠牲防食作用によって鋼材を保護する重防食塗装に欠かせない下塗り塗料です。
十分な防食性能を発揮するためには、適切な下地処理(ケレン)が欠かせません。
現場での部分補修や溶融亜鉛めっき補修では、施工性に優れた補修用ジンク塗料を選択するのも1つの選択肢です。
防食性能を長期間維持するためには、「新設なのか補修なのか」「施工環境はどうか」といった条件を踏まえ、用途に適した製品を選定しましょう。
製品選定でお困りの方は、日新インダストリーまでお気軽にお問い合わせください。