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豆知識
2025/12/01
日本の気候は腐食が進みやすい!なぜ厳しい腐食環境になるのか解説

日本は四季が明確で、美しい自然環境に恵まれていますが、「金属を使う現場」にとっては、四季による気候変動が腐食を著しく進行させる要因にもなります。

気温差、湿度、降水量、季節風、そして地域特有の環境などが重なり、「日本は世界的に見ても腐食が進みやすい国」と言われるほど厳しい環境です。

本記事では、日本の気候特性が金属腐食にどのように影響するのか、春夏秋冬ごとの腐食リスクと管理ポイント、年間の腐食管理スケジュールまで解説します。

 

日本の気候特性と腐食に影響する要因について 

日本列島は亜熱帯から亜寒帯まで幅広い気候帯に属し、四季の変化が明瞭です。

美しい自然を生み出す一方で、金属構造物や設備にとっては、厳しい腐食環境を作り出します。

気象変化が腐食に影響を与える主な要因は以下のとおりです。

  • 温度変化:金属の膨張や収縮による応力腐食
  • 湿度変化:結露や乾湿の繰り返しによる腐食の促進
  • 降水量:雨水による洗浄効果と腐食性物質の濃縮
  • 風向や風速:塩分粒子や汚染物質の運搬


金属構造物や設備においては、これらの要因を考慮したうえで、適切な防食対応が求められます。

 

季節別の腐食環境特性と管理ポイント

ここからは春夏秋冬の気候特性と腐食リスクについてまとめて、管理ポイントを端的に解説していきます。

  • 春(3月~5月)
  • 夏(6月~8月)
  • 秋(9月~11月)
  • 冬(12月~2月)


近年は温暖化により季節の境目が曖昧になっていますが、本稿では便宜上、上記の月を春夏秋冬の目安として扱います。

 

春(3月~5月)

春は気温上昇と朝夕の寒暖差が大きく、結露発生が増える季節です。

結露は腐食を促進する要因の一つで、水膜が長時間残存すると腐食が発生しやすくなります。

黄砂や花粉が付着すると、腐食環境が局所化する点も注意が必要です。

■春の管理ポイント

  • 結露が発生しやすい設備(タンク、ダクト、屋外配管)の点検
  • 黄砂・花粉の付着の排除
  • 防食皮膜の点検と補修を実施


夏(6月~8月)

夏は高温多湿により、年間で最も腐食速度が上がる季節です。

湿度が高い状態が続くと、金属表面の水膜が途切れず腐食反応が継続的に進行します。

強風や台風による海塩粒子の飛散も増え、沿岸部では一時的に塩害レベルが急上昇します。

■夏の管理ポイント

  • 高湿環境下で腐食しやすい箇所の頻繁なモニタリング
  • 塩分付着の洗浄と定期的な表面メンテナンス
  • 雨量増加に伴う腐食性物質の濃縮を踏まえた点検


秋(9月~11月)

秋は比較的安定した気候ですが、台風による塩害・飛来物による損傷が大きなリスクです。

台風後には塩分が大量に堆積するため、放置すると冬の乾燥期に結晶化し、腐食の要因となります。

■秋の管理ポイント

  • 台風後の迅速な洗浄と塩分除去
  • 夏季の高湿によって劣化した塗膜の補修
  • 冬に向けた防食計画の立案


冬(12月~2月)

冬は気温が低いため腐食速度は遅くなりますが、乾湿の繰り返しと融雪剤による塩害が課題です。

特に内陸部では凍結防止剤(塩化物)による局所腐食の発生が増加します。

■冬の管理ポイント

  • 融雪剤による塩分付着の除去
  • 翌年度の防食計画と補修計画の準備
  • 低温下で脆くなる材料の点検

効果的な腐食管理のための年間スケジュール

四季の変化に合わせた計画的な腐食管理が、コスト最適化と設備長寿命化の鍵となります。

  • 春の準備期間(2月~4月)
  • 夏の監視期間(5月~9月)
  • 秋の対策期間(10月~12月)
  • 冬の計画期間(12月~2月)


腐食管理を最適化する年間スケジュールを確認していきましょう。

 

春の準備期間(2月~4月)

日本の気候は腐食が進みやすい!なぜ厳しい腐食環境になるのか解説

春は気温と湿度が急激に上がり、結露が一気に増える時期です。

結露は鋼材・配管・タンクなどあらゆる設備の腐食を進行させるため、春に向けた事前準備が最も重要になります。

具体的には、冬季に脆くなった塗膜の補修、設備表面の洗浄、腐食が起こりやすい部位の優先点検などを実施します。

夏の高湿度期に備えて、腐食リスク評価や重点管理箇所のピックアップもこの時期に行うと効果的です。

防食対策の計画立案と予防保全のスタート地点となる期間と言えます。

 

夏の監視期間(5月~9月)

日本の気候は腐食が進みやすい!なぜ厳しい腐食環境になるのか解説

夏は年間で最も腐食速度が高まる季節であり、点検頻度を増やすべき期間です。

特に梅雨から台風シーズンにかけては湿度が高く、金属表面に常に水膜が残る状態が続くため、腐食反応が途切れません。

台風や強風により海塩粒子が大量に飛散するため、沿岸部では一時的に塩害が急激に進むこともあります。

夏の監視期間では、塩分付着量のチェックや表面洗浄、腐食度の定期測定が有効です。

台風の対策や事後点検など、現場作業の負担は増えるものの最も重要な運用期間と言えます。

 

秋の対策期間(10月~12月)

日本の気候は腐食が進みやすい!なぜ厳しい腐食環境になるのか解説

秋は台風による塩分付着や飛来物による損傷が残りやすく、そのまま冬を迎えると劣化が進行してしまいます。

そのため「夏のダメージをリセットし、冬に備える」ことがこの期間の目的です。

具体的には、塩分の除去洗浄、腐食が進行した箇所の補修、塗装の再施工、腐食しやすい設備の再点検などが挙げられます。

冬は腐食速度が落ちることもあり、作業計画を立てやすいため、点検結果をもとに翌年度の保全計画をまとめる準備も秋に行っておくのが効率的です。

夏の腐食負荷を引きずらないための重要な対策期間です。

 

冬の計画期間(12月~2月)

日本の気候は腐食が進みやすい!なぜ厳しい腐食環境になるのか解説

冬は気温が低く腐食の進行が比較的ゆるやかになるため、管理側は計画と設計に時間を割けます。

融雪剤による塩害など局所的なリスクはあるものの、点検作業よりも設備診断や長期計画策定に向いている季節です。

春に備えて腐食の起こりやすい設備の優先順位付け、補修予算の見積り、防食施工の計画、改善点の洗い出しなどを実施します。

年間で最も現場作業の負荷が低く、まとまった改善計画を立てるのに適した戦略的な準備期間だといえるでしょう。

 

地域によっても腐食管理は変わるので注意

日本は南北に長く、地域によって腐食環境が大きく異なります。

  • 沿岸部:塩害リスクが最も高い
  • 工業地帯:大気汚染物質による腐食が進行しやすい
  • 山間部・内陸部:融雪剤や寒暖差による結露が腐食の主要因
  • 南西諸島:高温多湿が年間を通して継続

このように地域特性を踏まえた防食計画が不可欠です。

全国に複数拠点を持つ企業では、拠点ごとに管理レベルや点検頻度を適切に変えることが求められます。

 

日本の気候に合わせた計画的な腐食管理が大切!

日本は四季による気候変化が大きく、それぞれの季節で腐食要因が異なります。

まずは腐食要因を把握した上で、腐食管理の計画を立てることが大切です。

溶融亜鉛めっき鋼材の腐食管理であれば、ジンク塗料での補修作業をおすすめします。

日新インダストリーでは、亜鉛含有量が96%の『ジンクZ96』やアルミニウムとマグネシウムも配合した『マザックス』など、幅広いラインナップで計画的な腐食管理をサポートします。

気になる方はお気軽にお問い合わせください。

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