法律関係
2023/07/20
SDSを制するものが次世代を制する!見方をわかりやすく解説!
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「SDSの見方がわからず、人体に有害な製品かどうかわからない…。」とお困りではありませんか?
SDSは難しい言葉も多く、見方がわからない人にはとっつきにくい印象がある文書ですが、紐解いて確認すれば決して難しい内容ではありません。
本記事ではSDSの見方についてポイントをわかりやすく解説していますので、SDSについて知りたい方は必見です。
SDSとは?
SDSはSafety Data Sheetの略であり、安全データシートのことです。
化学物質の安全な取り扱いに必要な情報をまとめた文書であり、製品に含まれる成分や危険性、保管方法、応急処置などが記載されています。
以前はMSDS(Material Safety Data Sheet)という名称でしたが、平成23年度(2011年度)からSDSに名称変更されて、※GHSに沿った内容となりました。
※GHS:化学品の分類と表示に関する世界調和システムで、世界で共通な化学品の危険性及び伝達の基準を整備したもの
SDSの各章に記載されていること
SDSは以下の画像のとおり合計16章に分けて記載されています。各章に記載されていることに関しては、以下の表をご確認ください。
①
製品および会社情報
SDSを提供する会社の名称と住所・担当部署の連絡先を記載
②
危険有害性の要約
・製品内に含有する物質の中で、健康被害等恐れがある成分について各区分ごとに記載
・GHSラベルの記載もあり、簡易的に危険性の確認が可能
画像引用:厚生労働省職場のあんぜんサイト「GHSのシンボルと名称」
▶GHSとは 危険有害性、区分、シンボル、注意喚起語、危険有害性情報早見表
③
組成及び成分情報
製品内に含有されている成分名、CAS番号、含有量(%)、安衛法、化管法に該当する物質を記載
④
応急措置
吸引した場合、皮膚に付着した場合、目に入った場合、飲み込んだ場合の応急処置方法を記載
⑤
火災時の措置
消火方法、消火剤について記載
⑥
漏出時の措置
人体に関する注意事項、環境に対する注意事項、封じ込め方法について記載
⑦
取扱い及び保管上の注意
製品の取り扱いや保管方法について記載
⑧
ばく露防止及び保護措置
含有化学物質の「管理濃度」及び「許容濃度」、設備対策、保護具等を記載
⑨
物理的及び化学的性質
製品の物理状態、色、臭い、沸点、引火点、比重等について記載
⑩
安定性及び反応性
反応性、避けるべき条件について記載
⑪
有害性情報
2章に記載されている健康被害の程度を詳細に記載
⑫
環境影響情報
2章に記載されている環境被害の程度を詳細に記載
⑬
廃棄上の注意
廃棄の処理方法について記載
⑭
輸送上の注意
国内、国外輸送の時に注意すべきことを記載
⑮
適用法令
・製品の各種法令に関係することを記載
・特化則、有規則、化管法、消防法等を記載
※特化則、有規則の詳細についてはこちらをご参照ください
⑯
その他の情報
SDSの参考文献、責任の限定に関係する内容を記載
SDSの見方について
SDSは合計で16章から構成されており、10ページ以上になることも珍しくありません。
そこでここからは以下のポイントに絞って、SDSの見方について解説していきます。
日新インダストリーのジンク塗料を希釈する際に使用するジンクシンナーNを参考に解説していきます。
参考:ジンクシンナーN SDS
有害性がある物質か確認したい
画像:ジンクシンナーN SDS第2章より抜粋
製品に有害性があるかどうかは、SDSの第2章を確認しましょう。
まず直感的に有害性があるかどうかは、上の画像で示すラベルを確認します。
ジンクシンナーNはパッと見て、引火性があり人体に影響がある製品だとわかると思います。
有害性の詳細については記載されている内容を確認しましょう。
GHS分類で「引火性液体」や「急性毒性」などの記載があり、それぞれ「区分〇」と数字が書かれています。
ここでは「区分の数字が小さいほど危険」と覚えておきましょう。
PRTR法に該当するか確認したい
PRTR法(化管法、化学物質管理促進法)では、トルエンやキシレンなど第一種指定化学物質を年間1トン以上取り扱う事業所に、排出量の報告義務があります。
対象物質の確認はSDSの15章を確認しましょう。
化学物質管理促進(PRTR)法
第1種指定化学物質
トルエン(4.0%);
エチルベンゼン(58%);
キシレン(38%)
ジンクシンナーN 1Lに含まれているPRTR法対象物質の量は以下の計算で合計867gと算出できます。
トルエン 1000㎖ × 4.0% = 40㎖ ⇒×比重0.867 = 34.68g
エチルベンゼン 1000㎖ × 58% = 580㎖ ⇒×比重0.867 = 502.86g
キシレン 1000㎖ × 38% = 380㎖ ⇒×比重0.867 = 329.46g
リスクアセスメントの対象物質か確認したい
画像:ジンクシンナーN SDS第3章より抜粋
化学物質を扱う事業者にはリスクアセスメントの実施が義務づけられています。
対象物質は令和7年(2025年)4月に約700種類が追加されて、合計で約1600種類です。
リスクアセスメントの対象物質かどうかはSDSの第3章を確認しましょう。
含まれている化学物質のCAS番号が記載されています。この番号を以下の厚生労働省のサイトで検索して、ヒットすればリスクアセスメントの対象物質です。
参考:厚生労働省職場のあんぜんサイト「ラベル・SDS義務対象物質一覧・検索」
リスクアセスメントはCREATE-SIMPLE(クリエイトシンプル)というリスクの積算ツールを使用して、化学物質のリスクレベルを算出します。
今後もリスクアセスメントの対象物質は増え続けていき、化学物質管理は事業者の「自律的管理」になっていく方向です。
消防法の対象物質か確認したい
消防法の対象物質かどうかはSDSの15章を確認しましょう。ジンクシンナーNのSDSには以下の記載があります。
消防法
危険物
第4類 引火性液体第2石油類非水溶性液体 危険等級 III(指定数量 1,000L)
このようにジンクシンナーNは消防法で危険物に該当する製品です。
SDSの第5章には火災時の措置についても記載があるため、万が一に備えて確認しておきましょう。
令和8年4月からラベル・SDS対象物質が大幅に増える
令和8年(2026年)4月1日以降、ラベル表示・SDS通知義務の対象物質が約850種類追加されることがすでに決定しています。
対象となる物質はGHS区分1以外の物質であり、これまで有害性がそこまで高くないとされてきた物質が追加になる予定です。
これまで化学物質管理というと、特化則や有機則の対象物質のみを管理する「個別規制型」が一般的でしたが、今後は事業者自らが管理する「自立的管理」に移行していくことは間違いありません。
SDSやラベルは化学物質管理の基本ですので、今のうちに見方をマスターしておきましょう。
SDSの見方を覚えて職場の健康を守ろう!
SDSは全16章から構成されており、見方がわからなければ、難しい文書と感じるかもしれません。
しかし、ポイントを押さえて内容を紐解いていけば決して難しい内容ではないことが、本記事を読んでおわかりいただけたと思います。
SDSやラベルには労働者の安全と健康を守るための基本情報が記載されています。
見方を覚えて、職場の健康を守っていきましょう。