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補修・塗装知識
2026/08/30

亜鉛塗料のよくある誤解10選|溶融亜鉛めっきの補修に適した塗料の選び方

「溶融亜鉛めっきの傷は、どうやって補修すればよいの?」とお悩みではありませんか?

溶融亜鉛めっきにできた傷の補修には、亜鉛塗料(ジンクリッチペイント)が使用されることが多いですが、この亜鉛塗料にはさまざまな誤解があります。

これまで亜鉛塗料を使用した経験がなく、初めて溶融亜鉛めっきの補修を行う場合は、製品選びや施工方法に迷う人も多いでしょう。

本記事では、亜鉛塗料の基本的な防食メカニズムから、溶融亜鉛めっきの補修に亜鉛塗料を使用する理由、製品選定のポイントなどをわかりやすく解説しています。

また、亜鉛塗料についてよくある10の誤解を取り上げていますので、ぜひ知識の整理にお役立てください。

 

亜鉛塗料とは?一般的な錆止め塗料との違い

亜鉛塗料のよくある誤解10選|溶融亜鉛めっきの補修に適した塗料の選び方

亜鉛塗料(ジンクリッチペイント)とは、塗料中に亜鉛末を高濃度に含有した防食塗料です。

一般的な錆止め塗料とは異なり、塗膜によるバリア防食だけでなく、亜鉛が鉄より先に腐食する「犠牲防食」によって鋼材を保護します。

上の図のとおり、鉄の表面に傷がついて鉄が露出しても、亜鉛塗料に含まれる亜鉛が先に溶け出して鉄を守るのが、犠牲防食の仕組みです。

 

溶融亜鉛めっきの補修に亜鉛塗料を使う理由

溶融亜鉛めっきは、溶融した亜鉛の浴槽に鋼材を浸漬し、表面に亜鉛による防食被膜を形成する処理方法です。

亜鉛による犠牲防食作用を利用しているため、鋼材を長期間腐食から守れます。

溶融亜鉛めっきが施された鋼材は、施工後の搬送や組み立て、ボルト締結、溶接、運搬時の接触などによって、めっき面に傷がつくことがあります。

傷が入った部分には亜鉛めっきによる防食被膜が存在しません。

そこで使用されるのが、亜鉛塗料による補修です。

亜鉛塗料を傷の部分に塗布することで、露出した鋼材に亜鉛を含む塗膜を形成でき、犠牲防食機能が期待できるようになります。

 

亜鉛塗料を選ぶときに確認したい3つのポイント

亜鉛塗料にはさまざまな種類があり、すべての製品が同じ用途を想定しているわけではありません。

まずは以下3つのポイントを確認しましょう。

  1. 補修用か新設用か
  2. プライマーの要否と下地への直接塗布
  3. 亜鉛含有率などの製品仕様

それぞれを掘り下げて確認していきます。

 

1.  補修用か新設用か

亜鉛塗料には、使用する場面に応じてさまざまな種類があります。

新しく鋼構造物を塗装する場合と、既存の溶融亜鉛めっき鋼材にできた傷や損傷を補修する場合では、求められる性能や施工性が異なるためです。

例えば、新設の鋼構造物では、後工程で中塗りや上塗りを行うことを前提としたジンクリッチプライマーが使用されます。

一方、既存の溶融亜鉛めっき鋼材を現場で部分的に補修する場合は、補修用途を想定した亜鉛塗料(ジンクリッチペイント)が適しています。

このように用途によって適した製品が異なるので、「亜鉛塗料だから使える」と考えるのではなく、補修する対象や用途に適した製品を選ぶことが大切です。

ジンクリッチプライマーについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

参考記事:ジンクリッチプライマーとは?ジンク塗料との違いや有機・無機の使い分け方を解説

 

2. プライマーの要否と下地への直接塗布

亜鉛塗料は、基本的にプライマー不要で施工できます。

これは、亜鉛塗料が鋼材と直接接触することで、亜鉛による犠牲防食作用を発揮するためです。

補修工程をシンプルにできるため、現場での部分補修にも適しています。

ただし、プライマーが不要でも下地処理まで不要になるわけではありません。

さびや旧塗膜、油分などを除去し、製品の仕様に従って素地調整を行うことが大切です。

 

3. 亜鉛含有率などの製品仕様

亜鉛塗料は、製品によって乾燥塗膜中の亜鉛含有率や樹脂の種類、膜厚、乾燥時間などが異なります。

亜鉛含有率だけを見ればよいわけではなく、補修対象や施工環境に適しているかを総合的に確認しましょう。

例えば、無機系と有機系では施工性や下地への要求などに違いがあり、1液形と2液形では、調合や可使時間など施工時の扱いやすさが変わります。

「亜鉛が多ければ良い」という判断ではなく、用途・施工条件・求める性能に合った製品を選ぶことが重要です。

 

亜鉛塗料によくある10の誤解

ここからは、亜鉛塗料について現場で生じやすい10の誤解を取り上げます。 

  • 誤解①:亜鉛塗料は普通の錆止め塗料と同じ?
  • 誤解②:プライマー(下塗り)が必ず必要?
  • 誤解③:塗膜は厚ければ厚いほど良い?
  • 誤解④:一度塗れば半永久的に効果が続く?
  • 誤解⑤:亜鉛めっきと亜鉛塗料(常温亜鉛めっき)はまったく同じ?
  • 誤解⑥:色が銀色・グレーならどれも同じ塗料?
  • 誤解⑦:上塗り(トップコート)は必ず必要?
  • 誤解⑧:どんな金属・下地にも使える?
  • 誤解⑨:特別な技術がなくても誰でも簡単に施工できる?
  • 誤解⑩:JIS K 5552・JIS K 5553に適合していない製品は性能が低い?

知識を整理するために、それぞれの内容をしっかりと確認していきましょう。

 

誤解①:亜鉛塗料は普通の錆止め塗料と同じ?

一般的な錆止め塗料は、塗膜によって鋼材を水分や酸素から遮断する「被膜防食」が基本です。

一方、亜鉛塗料は、乾燥塗膜中に高濃度の亜鉛末を含むことで、亜鉛による「犠牲防食」を利用するので、両者は同じではありません。

亜鉛塗料のよくある誤解10選|溶融亜鉛めっきの補修に適した塗料の選び方

バリア防食と犠牲防食の違いについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。

参考記事:溶融亜鉛めっきと塗装は何が違う?両者の特徴をわかりやすく比較

 

誤解②:プライマー(下塗り)が必ず必要?

「塗装ならまずプライマー」と考えてしまいがちですが、亜鉛塗料では必ずしもプライマーが必要とは限りません。

補修用として設計された亜鉛塗料には、鋼材や亜鉛めっき面に直接塗布できる製品があります。

これは、亜鉛塗料の特徴である犠牲防食を発揮する際に、亜鉛と鋼材の電気的な導通を確保する必要があるためです。

両者の間に絶縁性の高い塗膜を挟めば、犠牲防食の働きを妨げる可能性があります。

 

誤解③:塗膜は厚ければ厚いほど良い?

 

亜鉛塗料は、厚く塗れば塗るほど良いというわけではありません。

製品ごとに標準膜厚が設定されており、必要以上に厚く塗ると、塗膜の不良の原因にもなります。

特に無機亜鉛塗料は、膜厚を厚くしすぎると塗膜に割れてしまうので注意が必要です。

有機亜鉛塗料は、比較的厚塗りに対応しやすいですが、一度に厚く塗ってしまうと塗膜不良につながりやすくなります。

防食性能を発揮させるためには、製品ごとに定められた膜厚を確認して、適切な厚さで均一に塗ることが大切です。

 

誤解④:一度塗れば半永久的に効果が続く?

亜鉛塗料の犠牲防食は、亜鉛自身が腐食することで鋼材を守る仕組みです。

つまり、亜鉛は「身代わり」となって少しずつ消耗していくので、永遠に残るわけではありません。

実際の耐久性は、亜鉛含有率や膜厚だけでなく、設置環境や海岸部などの塩分、雨水の影響などによっても変化します。

そのため、必要に応じて塗膜の状態を確認し、劣化や損傷が見られた場合は適切に補修することが大切です。

 

誤解⑤:溶融亜鉛めっきと亜鉛塗料(常温亜鉛めっき)はまったく同じ?

亜鉛塗料は「常温亜鉛めっき」と呼ばれることがあります。常温で施工でき、亜鉛による防食被膜を形成するという特徴を表した呼び方です。

しかし、技術的には溶融亜鉛めっきと亜鉛塗料は同じものではありません。

溶融亜鉛めっきは、鋼材を溶融亜鉛に浸漬することで、鋼材表面に亜鉛と鉄の合金層などを形成する金属被膜です。

一方、亜鉛塗料は、亜鉛末を含む塗料を塗布して形成する塗膜となります。

「常温亜鉛めっき」は現場に定着した親しみやすい呼び方ですが、仕様書や規格書など正確さが求められる場面では、「亜鉛塗料」「ジンクリッチペイント」という表記を用いるのが適切です。

 

誤解⑥:色が銀色・グレーならどれも同じ塗料?

亜鉛塗料は、乾燥すると銀色やグレーになる製品が多く、外観だけでは違いを判断しにくいものです。

製品によって亜鉛含有率、樹脂の種類、膜厚、施工方法などは異なります。

また補修箇所を目立たなくしたいのか、防錆性能を重視したいのかなど目的によって製品の選定は変わります。

銀色やグレーなど色だけで判断するのではなく、製品仕様書や技術資料を確認して選定することが大切です。

亜鉛塗料のよくある誤解10選|溶融亜鉛めっきの補修に適した塗料の選び方

誤解⑦:上塗り(トップコート)は必ず必要?

ジンクリッチプライマーのように新設構造物の下塗りとして使われる製品は、後工程で上塗り塗料を重ねることを前提に設計されています。

一方、補修用に開発された1液形の亜鉛塗料の中には、上塗りなしで防食機能を発揮できるよう設計されている製品もあり、上塗りが必ずしも必須というわけではありません。

もちろん、色調や意匠性、耐候性などを考慮して上塗りを行う場合もあります。

その際は、亜鉛塗料と上塗り塗料の適合性を事前に確認することが大切です。

 

誤解⑧:どんな金属・下地にも使える?

亜鉛塗料の犠牲防食は、基本的に鉄鋼材料を対象とした防食方法です。

ステンレスやアルミニウムなど、鉄鋼材料とは性質の異なる金属では、同じような防食効果が期待できるとは限りません。 

また、異種金属を組み合わせることで、ガルバニック腐食と呼ばれる現象が起こる可能性もあります。

ガルバニック腐食については、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:溶融亜鉛めっきと異種金属が接触したら腐食する?ガルバニック腐食のメカニズムを解説

 

誤解⑨:特別な技術がなくても誰でも簡単に施工できる?

1液形の亜鉛塗料には、刷毛やローラーなどで施工できる製品があり、施工自体は難しいものではありませんが、防食性能を十分に発揮させるためには、施工前の下地処理が非常に重要です。

溶融亜鉛めっきの補修では、損傷部分に浮きさびや旧塗膜、油分などが残っていると、亜鉛塗料が鋼材に十分密着できない可能性があります。

そのため、動力工具などを用いてさびや劣化した塗膜を除去し、必要に応じて脱脂を行うなど、製品の仕様に従って素地調整を行うことが大切です。

また1液の有機亜鉛塗料ではエアゾールスプレータイプもあります。誰でもボタンを押すだけで塗布できるため、簡単に施工可能です。

 

誤解⑩:JIS K 5552・JIS K 5553に適合していない製品は性能が低い?

亜鉛塗料には、「JIS K 5552 ジンクリッチプライマー」と「JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント」というJIS規格があります。

これらは主に新設の鋼構造物に使用される製品を対象とした規格です。

 

IS K 5552 ジンクリッチプライマー

JIS K 5553 厚膜形ジンクリッチペイント

無機系

有機系

無機系

有機系

亜鉛含有率
80%以上

亜鉛含有率
70%以上

亜鉛含有率
75%以上

亜鉛含有率
70%以上

 

一方、溶融亜鉛めっきの補修などを目的とした1液形の亜鉛塗料は、用途や施工条件が異なるため、JIS規格の対象外となる場合があります。

JISに適合していないからといって、必ずしも性能が低いわけではありません。

補修用途では、使用環境や施工条件に適した製品かどうかを確認することが大切です。

 

溶融亜鉛めっきの補修に適した亜鉛塗料の選び方

ここまでの内容を踏まえて、実際に溶融亜鉛めっきの補修用亜鉛塗料を選ぶときのポイントを整理します。

  • 既存の溶融亜鉛めっきの部分補修には補修用製品を選ぶ
  • 1液形なら現場での補修作業にも対応できる
  • 下地処理、膜厚、上塗りなど施工条件も確認する

それぞれを掘り下げて確認していきましょう。

 

既存の溶融亜鉛めっきの部分補修には補修用製品を選ぶ

新設の鋼構造物に対する防食塗装と、施工済みの溶融亜鉛めっき鋼材に生じた傷の部分補修では、求められる施工性や用途が異なります。

新設時は、複数の塗料を組み合わせて防食塗装を仕上げることを前提とした製品が使われます。

一方、既存の溶融亜鉛めっきを補修する場合は、損傷した部分に直接塗布でき、現場で効率よく補修できる製品が最適です。

そのため、補修用の亜鉛塗料を選ぶ際は、製品の名称だけで判断するのではなく、既存の溶融亜鉛めっきの補修を想定したジンクリッチペイントかどうかを確認しましょう。

 

1液形なら現場での補修作業にも対応できる

溶融亜鉛めっきの補修では、施工済みの構造物を現場で部分的に補修するケースがあります。

その際に活躍するのが、1液形の亜鉛塗料です。

主剤と硬化剤を計量・混合する必要がなく、必要な量を取り出して使用できるため、現場で扱いやすいというメリットがあります。

亜鉛塗料のよくある誤解10選|溶融亜鉛めっきの補修に適した塗料の選び方

例:乾燥時間も短い1液タイプで、亜鉛含有率96%のジンクリッチペイント「ジンクZ96」

 

ただし、1液形であることだけを理由に選ぶのではなく、補修対象や施工条件、必要な性能などを含めて判断することが大切です。

 

下地処理、膜厚、上塗りなど施工条件も確認する

亜鉛塗料を選ぶ際は、製品の防食性能だけでなく、実際の施工条件に適しているかも確認しましょう。

例えば、損傷部に必要な下地処理の方法や、推奨される膜厚、重ね塗りの可否、上塗り塗料との適合性などは製品によって異なります。

現場でどのような施工ができるかを事前に確認しておくことが大切です。

溶融亜鉛めっきの部分補修では、現場で無理なく施工でき、必要な防食性能を発揮できる製品かどうかが重要な選定基準となります。

 

日新インダストリーの有機ジンクリッチペイント製品

日新インダストリーでは、溶融亜鉛めっき鋼材などの補修に使用できる有機ジンクリッチペイントを取り扱っています。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 溶融亜鉛めっき鋼材などの部分補修に対応
  • プライマー不要で直接塗布が可能
  • 高濃度の亜鉛末による犠牲防食

日新インダストリーの各種有機ジンクリッチペイントは以下からご覧ください。

■製品一覧『ジンク塗料』

 

溶融亜鉛めっき鋼材などの部分補修に対応

日新インダストリーの有機ジンクリッチペイントは、溶融亜鉛めっき鋼材の傷など、めっき被膜が損傷して鋼材が露出した部分の補修に対応した製品です。

亜鉛を高濃度に含む塗膜を形成することで、損傷によって失われた亜鉛による防食機能を補います。

めっき全体を再処理するのではなく、必要な箇所だけを補修できるため、施工済みの構造物や現場での部分補修に適した製品です。

 

プライマー不要で直接塗布が可能

日新インダストリーの有機ジンクリッチペイントは、プライマーを使用せず、鋼材や溶融亜鉛めっき面に直接塗布できる1液形の有機ジンクリッチペイントです。

プライマーを別途塗布する工程が不要なため、溶融亜鉛めっきの傷や損傷部分を現場で補修する際にも、工程をシンプルにできます。

 

高濃度の亜鉛末による犠牲防食

日新インダストリーの有機ジンクリッチペイントは、乾燥塗膜中に高濃度の亜鉛末を含有し、亜鉛による犠牲防食作用を利用して鋼材を腐食から守ります。

溶融亜鉛めっきの損傷部に塗布することで、失われた亜鉛被膜の防食機能を補うことが可能です。

また、深い傷や凹みのある箇所には、ジンクパテSTと組み合わせることで、損傷部の形状を整えながら補修できます。

ジンクパテSTについては、以下の記事も参考にしてください。

参考記事:ジンクパテST誕生秘話!試行錯誤の末に完成したニッチ商品

 

亜鉛塗料は用途に合った製品選びが重要

亜鉛塗料は、溶融亜鉛めっきの傷を補修する際にも、亜鉛による防食機能を補う材料として活用できます。

一方で、亜鉛塗料ならどの製品でも同じというわけではありません。

新設用なのか補修用なのか、プライマーが必要なのか、どのような下地に塗れるのか、必要な膜厚はどの程度なのか、上塗りは可能なのかなど、使用条件を確認して選ぶことが大切です。

初めて亜鉛塗料を検討されている方は、ぜひお気軽に日新インダストリーまでお問い合わせください。

用途や施工条件をお伺いしたうえで、適した亜鉛塗料をご提案します。 

亜鉛塗料のよくある誤解10選|溶融亜鉛めっきの補修に適した塗料の選び方

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