コラム

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防錆・防食知識
2026/08/30

予防保全と事後保全の違い|インフラ長寿命化に必要な鋼構造物の防食対策を解説

「予防保全と事後保全って、何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

橋梁、送電鉄塔、通信鉄塔、建築鉄骨など、私たちの社会を支える鋼構造物は、雨や風、紫外線、塩分などの影響を受けながら長期間使用されます。

こうした構造物を安全に使い続けるには、劣化や損傷を放置するのではなく、状態を確認しながら計画的に補修することが重要です。

保全の考え方には「予防保全」と「事後保全」があります。

本記事では、予防保全と事後保全の違いを整理したうえで、鋼構造物の劣化状態から考える予防保全のポイント、補修方法などについて解説します。

 

予防保全と事後保全とは

予防保全と事後保全の違い|インフラ長寿命化に必要な鋼構造物の防食対策を解説

予防保全と事後保全の大きな違いは、設備や構造物の劣化や不具合に対して、どのタイミングで対策を行うかにあります。

まずは両者の違いを整理しておきましょう。

  • 予防保全(Preventive Maintenance)
  • 事後保全(Corrective Maintenance)
  • 予防保全と事後保全の違いに関する比較表

 

予防保全(Preventive Maintenance)

予防保全とは、設備や構造物に重大な不具合が発生する前に、点検・診断を行い、計画的な補修や修繕を行う保全方式です。

「壊れる前に直す」という考え方が基本ですが、「腐食がまったく発生していない状態で補修する」という意味ではありません。

塗膜の劣化や傷、さびの発生などの兆候を早期に発見し、腐食が深刻化する前に必要な対策を講じることも予防保全に含まれます。

国土交通省も、インフラについて、損傷が軽微な段階で補修を行う予防保全型のメンテナンスへの転換を進めています。

参考:国土交通省『国土交通白書2024|第4節 社会資本の老朽化対策等』

 

事後保全(Corrective Maintenance)

事後保全とは、設備や構造物に損傷や機能低下などの不具合が発生した後に、補修を行う保全方式です。

例えば、鋼構造物の腐食を長期間放置し、鋼材の断面欠損などが発生してから大規模な補修を行うケースが当てはまります。

交換が簡単な部品や、故障しても安全性や生産活動への影響が小さい設備では、経済性を考慮して事後保全を選択する場合もありますが、橋梁や鉄塔などの社会インフラでは、損傷が拡大してから対応すると、補修費用が莫大になる恐れもあり、注意が必要です。

 

予防保全と事後保全の違いに関する比較表

比較項目

予防保全

事後保全

実施タイミング

劣化・損傷が深刻化する前

不具合や損傷が発生した後

基本的な考え方

早期発見・早期補修

不具合発生後に補修

補修規模

軽微な補修で済む場合がある

大規模な補修が必要になる場合がある

設備停止リスク

計画的に対応しやすい

突発的な停止につながる可能性がある

適した用途

重要度が高く、長寿命化が求められる設備など

交換容易な部品など、影響が限定的な設備

 

インフラ・鋼構造物ではなぜ予防保全が重要なのか

予防保全と事後保全の違い|インフラ長寿命化に必要な鋼構造物の防食対策を解説

インフラでは、一度設置した構造物を長期間使用することが求められます。

そのため、劣化が進行してから大規模な補修を行うのではなく、状態を継続的に確認し、早い段階で必要な対策を行うことが大切です。

  • 鋼構造物は腐食によって劣化する
  • 腐食を放置すると補修規模が大きくなる
  • 予防保全と事後保全の分かれ目は早期発見・早期補修

なぜ予防保全が重要なのか、詳しく確認していきましょう。

 

鋼構造物は腐食によって劣化する

鋼材は、水分や酸素などの腐食因子にさらされることで腐食が進行します。

屋外に設置される橋梁や鉄塔などでは、雨水や潮風などの影響を受けるため、塗膜やめっきなどによって鋼材を保護する防食対策が必須です。

しかし、防食塗膜やめっき層も時間の経過とともに劣化していきます。

そのため、鋼構造物の保全では、鋼材そのものだけでなく、鋼材を守っている防食層の状態を確認することが大切です。

 

腐食を放置すると補修規模が大きくなる

鋼構造物は、劣化の兆候を把握しながら必要な対策を先送りすると、腐食が進行して補修範囲が拡大する可能性があります。

例えば、塗膜の一部に傷がある段階であれば、損傷部分を処理して局部的な補修塗装で済むケースが多いです。

しかし、腐食が広範囲に進行し、鋼材の断面欠損などが発生すると、補修塗装だけでは対応できず、部材の補修・交換や補強などが必要となり、対応コストも膨大になります。

予防保全の目的は、劣化が軽微な段階で適切に対策し、構造物をできるだけ長く、効率的に使い続けることです。

国土交通省の推計では、事後保全から予防保全へ転換することで、30年間の維持管理・更新費を約3割縮減できる見込みとされています。

参考:国土交通省『国土交通白書2020|第2節 持続可能なインフラメンテナンスサイクル実現のために』

 

予防保全と事後保全の分かれ目は早期発見・早期補修

予防保全と事後保全の分かれ目は、劣化・損傷を早期に発見し、深刻化する前に補修できるかどうかです。

例えば、塗膜の劣化や傷、めっき層の損傷などを点検で発見し、鋼材の腐食が拡大する前に補修することは、予防保全につながります。

一方、腐食を放置して断面欠損などの重大な損傷が発生してから大規模な補修を行う場合は、事後保全に近い対応です。

設備保全では、現在の状態を把握して、放置した場合のリスクとすぐに必要な対策を見極めることが大切です。

 

鋼構造物の劣化状態から考える予防保全

鋼構造物の予防保全では、点検によって劣化・損傷を発見し、その状態に応じて補修の必要性を判断します。

  • 鋼構造物の点検で確認したい劣化・損傷
  • 劣化状態に応じた補修・保全の考え方
  • 鋼構造物の状態別・予防保全の判断表

それぞれを確認していきましょう。

 

鋼構造物の点検で確認したい劣化・損傷

予防保全と事後保全の違い|インフラ長寿命化に必要な鋼構造物の防食対策を解説

塗装された鋼構造物では、退色や光沢低下、チョーキング、塗膜の膨れ・剥離、傷などが劣化の兆候です。

塗膜の剥離や傷によって鋼材が露出している場合、その部分から腐食が進行する可能性があります。

さびが確認された場合には、範囲や深さ、鋼材への影響などを確認することが必要です。

溶融亜鉛めっきが施された鋼構造物では、めっき層の損傷や消耗にも注意しましょう。

施工時の傷、輸送時の損傷、現地での溶接・切断・穴あけ加工などによって、部分的にめっき層が失われる場合があります。

 

劣化状態に応じた補修・保全の考え方

予防保全では、以下の流れで考えることが基本です。

  1. 劣化を発見する
  2. 状態を評価する
  3. 進行する前に補修する

例えば、塗膜の退色や光沢低下だけであれば、その他の劣化状況を確認しながら経過を観察してもよいでしょう。

塗膜の傷や欠損、局部的なさびが確認された場合には、腐食が広がる前に局部補修を検討します。

腐食が進行している場合は、ケレンなどによって腐食部分を処理したうえで、防食塗装による補修が必要です。

鋼材の断面欠損など、構造そのものへの影響が疑われる場合は、防食塗装だけで判断せず、専門家による調査・評価を行ったうえで、補修や補強などを検討する必要があります。

 

鋼構造物の状態別・予防保全の判断表

劣化・損傷の状態

確認したいポイント

保全の考え方

退色・光沢低下

塗膜全体の劣化状況

他の劣化がないか確認し、継続的に点検

チョーキング

粉化の程度、ひび割れ・剥離の有無

塗膜状態を評価し、補修・塗替えを検討

塗膜の傷・欠損

鋼材まで達しているか

腐食が進行する前に局部補修を検討

塗膜の膨れ・剥離

下地の腐食、塗膜の密着状態

原因を確認し、ケレン・補修塗装などを検討

さびの発生

さびの範囲、深さ、断面欠損の有無

早期の防食補修を検討

めっき層の損傷

鋼材の露出、損傷範囲

ジンクリッチペイントなどによる補修を検討

鋼材の腐食・断面欠損

腐食の範囲・深さ、構造への影響

詳細調査のうえ、補修・補強などを検討

 

インフラ・鋼構造物の予防保全に必要な防食対策

鋼構造物の予防保全では、腐食の進行を抑える「防食」が重要な役割を果たします。

  • 塗装による防食|被覆防食と犠牲防食
  • 鋼構造物の防食対策で重要な早期補修
  • 溶融亜鉛めっきと補修の課題
  • 溶融亜鉛めっきの補修が必要になるケース

鋼構造物や溶融亜鉛めっきの防食対策について、掘り下げて確認していきましょう。

 

塗装による防食|被覆防食と犠牲防食

塗装による防食には、大きく「被覆防食」と「犠牲防食」に分けられます。

予防保全と事後保全の違い|インフラ長寿命化に必要な鋼構造物の防食対策を解説

被覆防食は、塗膜によって水分や酸素などの腐食因子を鋼材から遮断する方法です。

エポキシ樹脂系塗料などが代表的な材料として使用されます。

犠牲防食は、鋼材よりも腐食しやすい金属を利用して鋼材を保護する方法です。

亜鉛を含むジンクリッチペイントが代表例で、塗膜に傷が生じた場合にも亜鉛が優先的に腐食することで鋼材を保護します。

 

鋼構造物の防食対策で重要な早期補修

鋼構造物では、点検によって異常を早期に発見し、必要な部分を補修することが大切です。

補修範囲が小さい段階で対応できれば、構造物全体を大規模に補修するのではなく、局部的な防食補修で対応できる場合があります。

劣化が軽微な段階で必要な部分を補修することが、防食における予防保全の考え方です。

 

溶融亜鉛めっきと補修の課題

溶融亜鉛めっきは、亜鉛の犠牲防食作用によって鋼材を腐食から守る優れた防食方法ですが、長期使用による亜鉛層の消耗や、輸送・施工時の傷、現地での溶接・切断・穴あけ加工などにより、部分的にめっき層が失われることがあります。

こうした損傷箇所を補修する際の課題が、既設構造物を現地で再めっきすることが難しい点です。

そのため、損傷部分だけを現場で補修し、周囲と同様の防食機能を確保できる方法が求められます。そこで活躍するのがジンクリッチペイントでの現場補修です。

 

予防保全に有効な補修塗料「ジンクリッチペイント」の活用

鋼構造物の防食補修では、亜鉛による犠牲防食作用を利用した「ジンクリッチペイント」が選択肢です。

  • ジンクリッチペイントとは
  • ジンクリッチペイントが鋼構造物の予防保全に適している理由
  • 日新インダストリーのジンクリッチペイント

予防保全に有効なジンクリッチペイントについて、掘り下げて確認していきましょう。

 

ジンクリッチペイントとは

ジンクリッチペイントとは、亜鉛を豊富に含んだ防食塗料の総称で、「ジンク塗料」や「亜鉛塗料」とも呼ばれます。

乾燥した塗膜中の亜鉛が鋼材より先に腐食することで、鋼材を保護する「犠牲防食作用」を利用した塗料です。

ジンクリッチペイントには有機系と無機系があり、樹脂や施工性などに違いがあります。

日新インダストリーでは、主に現場で扱いやすい有機系ジンクリッチペイントを取り扱っています。

ジンクリッチペイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

参考:ジンクリッチペイントとは?亜鉛含有率との関係や防錆メカニズムを解説

 

ジンクリッチペイントが鋼構造物の予防保全に適している理由

ジンクリッチペイントが予防保全に適している理由は、鋼構造物の防食機能が部分的に失われた段階で、必要な箇所だけを補修できるためです。

例えば、溶融亜鉛めっきされた鉄塔や鋼構造物に施工時の傷や加工部が生じると、その部分では鋼材が露出し、腐食が始まります。

この段階で補修せずに放置すると、周囲へ腐食が広がり、やがて大掛かりな補修が必要になるでしょう。

そこで、損傷箇所を適切に下地処理したうえでジンクリッチペイントを塗布し、失われた防食機能を早期に補うことで、腐食の進行を抑制できます。

構造物全体を補修するのではなく、劣化が軽微な段階で必要な部分に対策を施せることが、予防保全におけるジンクリッチペイントの大きなメリットです。

 

日新インダストリーのジンクリッチペイント

日新インダストリー株式会社は、各種インフラ向けの有機ジンクリッチペイントを製造・販売しています。

幅広い鋼構造物に対応しており、腐食が進む前に、現場で手軽に補修できる予防保全に適した補修用塗料です。

施工条件や使用環境に応じた製品選定についてのご相談も承っています。製品ラインナップについては、以下をご覧ください。

日新インダストリー 製品一覧

 

フォーム入力無しでダウンロードいただけるカタログもございます。ぜひ、お気軽にダウンロードしてご覧ください。

予防保全と事後保全の違い|インフラ長寿命化に必要な鋼構造物の防食対策を解説

製品カタログ(pdf)

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※紙面の郵送も可能です。お電話かフォームよりお気軽にお問い合わせください。

 

鋼構造物の補修塗料なら日新インダストリーにお任せください

インフラや鋼構造物を長く使い続けるためには、劣化してから大規模な補修を行うのではなく、劣化・損傷を早期に発見し、適切なタイミングで防食補修による予防保全を行うことが重要です。

溶融亜鉛めっきの補修では、現場で施工できるジンクリッチペイントを活用することで、損傷した部分の防食機能を補い、構造物の長寿命化をサポートできます。

 

日新インダストリーでは、さまざまなジンクリッチペイントを取り揃え、溶融亜鉛めっきの補修をはじめとする鋼構造物の防食ニーズに対応しています。

補修箇所や使用環境に適した製品選定でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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