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2026/02/02
塗膜厚と必要塗料量の関係を正しく理解する|膜厚不足や過多を防ぐ計算

「塗膜厚の管理が面倒だから、とりあえず厚く塗っておこう!」と考えている人もいるかもしれませんが、塗料の性能を最大限に発揮させるためには、適正な塗膜厚の確保が不可欠です。

特にジンク塗料においては、塗膜厚が防食性能に直結するため、より厳密な管理が求められます。

本記事では、塗膜厚と必要塗料量の関係を基礎から整理し、膜厚不足や過多といった不具合を防ぐための考え方と計算方法、現場での管理ポイントをわかりやすく解説しています。

塗膜厚について正しく管理したい方は必見です。

 

塗膜厚と必要塗料量の関係は切り離せない

塗膜厚は「結果」として測定される数値ですが、その結果を生み出しているのが塗料の使用量です。

塗料の使用量が不足していれば塗膜厚は確保できず、逆に過剰に使えば塗膜厚は過多になります。

特にジンク塗料では、塗膜中に含まれる亜鉛量が防食性能に直結します。

塗膜厚が不足すれば防食寿命が短くなり、過多になれば塗膜欠陥やコスト増につながります。

適正な塗膜厚を確保するためには、必要な塗料量を正確に理解して、計画的に管理することが大切です。

 

塗膜厚で起こる主な不具合

塗膜厚は「厚ければ安心」と誤解している人もいるでしょう。

実際には塗料には適正な塗膜厚が決められており、過不足によって不具合が発生します。

  • 塗膜厚不足で起こる不具合
  • 塗膜厚過多で起こる不具合


ここではジンク塗料を例にして、それぞれを詳しく確認していきましょう。

 

塗膜厚不足で起こる不具合

塗膜厚が不足すると、ジンク塗料が本来持つ犠牲防食作用を十分に発揮できません。

亜鉛量が足りないことで防食期間が短くなり、早期に赤さびが発生する恐れがあります。

塗膜が薄いことでピンホールが生じやすくなり、これは局所的な腐食を招く原因です。

検査段階で膜厚不足が判明した場合、追加塗装や補修が必要となり、工期延長やコスト増につながります。

膜厚不足は品質面だけでなく、施工管理上のリスクも大きい不具合です。

 

塗膜厚過多で起こる不具合

一方で、塗料を厚く塗りすぎると、乾燥不良や溶剤残りが起こりやすくなり、塗膜の割れやクラックの原因です。

特にジンク塗料は比重が高いため、過度な塗り付けは塗膜内部に応力が生じやすくなります。

必要以上に塗料を使用することで、材料コストが無駄に増加します。

「厚ければ安心」という考え方は誤りであり、適正な塗膜厚を狙って施工することが大切です。

 

メーカー基準書に記載されている必要塗料量

塗膜厚と必要塗料量の関係を正しく理解する|膜厚不足や過多を防ぐ計算

画像:塗装基準書の一例

  • 推奨塗膜厚:塗料の性能を発揮するための標準塗膜厚(例:80μm、100μmなど)
  • 標準使用量:推奨塗膜厚を得るために必要な塗料量(kg/m²またはg/m²)
  • 塗装回数:1回塗りか2回塗りかの推奨
  • 希釈率:必要に応じて添加する溶剤の割合


これらの数値は、試験や実績に基づいて設定されたもので、性能を保証するための基準です。

日新インダストリーの製品については、以下のページにて仕様書や技術資料をダウンロードいただけます。

参考:日新インダストリー「資料ダウンロードページ」

まずは、このメーカー基準書の数値を確認し、それに基づいて塗料の発注量や施工計画を立てることが基本です。

ただし、施工条件や塗膜厚を変更する場合には、基準書の数値をそのまま使えないケースもあります。

その際に必要となるのが、理論的な計算です。

 

塗膜厚から必要塗料量が決まる仕組み

塗膜厚から必要塗料量が決まる仕組みを理解するためには、「乾燥後に残るのは固形分だけ」という点を押さえる必要があります

塗料中の溶剤は乾燥過程で揮発し、塗膜として残るのは樹脂や顔料などの固形分です。この固形分を「加熱残分」と呼びます。

同じ塗膜厚を形成する場合でも、加熱残分が低い塗料ほど多くの塗料が必要です。

ジンク塗料は亜鉛粉末を多量に含むため比重が大きく、塗膜体積あたりの重量も増えます。

これらの要素が組み合わさって、必要な塗料量が決まるのです。

 

【計算式】塗膜厚から必要塗料量を算出する方法

ここからは、実際に塗膜厚から必要塗料量を算出する方法を見ていきましょう。

計算に必要な情報は多くありません。ポイントを押さえれば、現場でも十分に活用できます。

 

必要な情報は3点のみ

塗膜厚から必要塗料量を算出するために必要な情報は以下の3点です。

  1. 目標とする乾燥塗膜厚(μm)
  2. 塗料の比重(g/cm³)
  3. 加熱残分(固形分、%)


これらはいずれもメーカー資料に記載されています。

事前に数値を確認しておくことで、計算をスムーズに進めることが可能です。

塗料には水や溶剤だけでなく樹脂や顔料、添加剤などが含まれているため、一般的な塗料の比重は1.0~1.3g/cm³となります。

ジンク塗料には、これらに加えて亜鉛粉末が多く含まれており、1.5~2.5g/cm³と比重が重くなるため、覚えておきましょう。

 

理論塗料使用量の計算式

理論塗料使用量(kg/m²)= 目標塗膜厚(µm)× 塗料比重(g/cm³)÷ 加熱残分(%)÷ 10

この式は、乾燥塗膜の体積・重量関係をそのまま表したもので、現場実務でも広く使われている基本式です。

 

具体的な計算例

乾燥塗膜厚100μm、塗料比重2.2g/cm³、加熱残分75%のジンク塗料の場合、計算式は以下のとおりとなります。

100×2.2÷75÷10=約0.29kg/m²

つまり、理論塗料使用量は約0.29kg/m²となり、1㎡あたり約0.29kg(約290g)の塗料が必要です。

ただし、この式で求められるのはロスを含まない理論値であり、施工時には後述するロス率を必ず加味することが大切です。

 

現場ではロス率を考慮することが大切

施工方法 ロス率の目安 主なロス要因
ローラー・刷毛 10〜20% 含み残り、塗り重ね、凹凸部への塗料溜まり
エアレススプレー 20〜30% オーバースプレー、跳ね返り、ホース内残り
エアスプレー 30〜40% 微粒化による飛散、周囲への拡散

上の表は施工方法ごとに塗料のロス率を表したものです。

実際の施工では、計算通りに塗料がすべて塗膜になることはありません。

飛散、跳ね返り、工具や容器への付着など、施工方法ごとに一定のロスが発生します。

そのため、理論塗料使用量にロス率を上乗せして、実際の使用量や発注量を決めることが重要です。

前述した理論値の塗料をエアスプレーで塗装した場合の塗料使用量の計算方法は以下となります。

100×2.2÷75÷10×1.4=約0.41kg/m²

ただし、鋼材の形状、表面粗さ、作業者の熟練度、養生条件などによってロス率は変動しますので、あくまで目安として覚えておきましょう。

 

塗膜厚の管理方法

計算で求めた塗料量を確実に塗膜品質につなげるためには、以下の塗膜厚の管理が欠かせません。

  • wet膜厚での施工中管理
  • dry膜厚での最終確認


それぞれについて、以下で確認していきましょう。

 

wet膜厚での施工中管理

塗膜厚と必要塗料量の関係を正しく理解する|膜厚不足や過多を防ぐ計算

画像:wet膜厚100μm

wet膜厚計を使えば、塗装直後の湿潤状態の膜厚を数値確認できます

上の画像では100μmに接触していますが、125μmは非接触の状態です。

つまり、この場合のwet膜厚は100μmだと判断できます。

塗膜が乾燥してしまう前に確認できる点が最大のメリットで、施工中の微調整が可能です。

あらかじめ加熱残分(固形分)から目標dry膜厚に対応するwet膜厚を算出しておけば、作業者は「今の塗り量が適正かどうか」を感覚ではなく数値で判断できます。

必要なwet膜厚の計算式は以下のとおりです。

wet膜厚(µm)= 目標dry膜厚(µm) ÷ 加熱残分 × 100

例えば、目標とする乾燥塗膜厚(dry膜厚)が100μmで、塗料の加熱残分が75%の場合、100÷75×100=約133μmとなります。

つまり、wet膜厚を約133μmにしておけば、dry膜厚を約100μm確保できるということです。

ジンク塗料などの高比重塗料では、見た目だけでは塗膜厚を判断しにくいため、wet膜厚による管理は品質安定に直結します。

施工中に確認して、修正できるwet膜厚管理は、品質確保と作業効率を両立させる有効な管理方法です。

 

dry膜厚での最終確認 

施工完了後は、電磁式膜厚計などを用いてdry膜厚を測定します。

平均値だけでなく最小値も確認し、仕様を満たしているかを判断します。

測定結果は、次回施工へのフィードバックとしても重要なデータとなりますので、大切に保管しましょう。

 

ジンク塗料の塗膜厚なら日新インダストリーまでお問い合わせください

ジンク塗料の性能を最大限に発揮させるためには、適正な塗膜厚管理が欠かせません。

なんとなくで塗装することで、膜厚の過不足が発生すると、余計な手間が発生して、コスト増につながる可能性もあるので注意しましょう。

 

ジンク塗料の塗膜厚のことで気になることがあれば、日新インダストリーまでお気軽にお問い合わせください。

品質とコストを両立できる最適なジンク塗料と施工方法についてアドバイスいたします。

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