コラム

COLUMN
法律関係
2026/04/28
有機則と特化則の違いとは?PRTR法も含めたSDSによる判断方法

「使用している塗料が有機則と特化則の該当品がどうかわからない...。」とお悩みではありませんか?

塗装工程で使用する塗料が、有機則や特化則の対象になるのか判断に迷うことは少なくありません。

近年では、PRTR法への対応も求められ、管理すべき法規制は複雑化しています。

これらの法令はそれぞれ目的や対象が異なるため、正しく理解することが大切です。

まずは「法規制に該当しない=安全」という認識を改める必要があります。

実際には、規制対象外の物質であっても健康被害が発生するケースは多く、法令だけに依存した判断は危険です。

本記事では、有機則・特化則・PRTR法の違いを整理したうえで、自社で使用している塗料が該当するかどうかの判断方法を具体的に解説します。

近年「個別管理型」に移行しているリスクアセスメントの考え方についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

有機則・特化則・PRTR法の違いを整理

項目

有機則(有機溶剤中毒予防規則)

特化則(特定化学物質障害予防規則)

PRTR法

目的

労働者の健康障害防止

高リスク物質による健康障害防止

環境への排出管理

主な対象

有機溶剤(トルエン、キシレン等)

発がん性・高毒性物質(エチルベンゼン等)

指定化学物質

規制の視点

作業環境・健康管理

より厳格な作業管理・長期管理

排出量・移動量の把握

判定基準

含有率(目安5%以上)

含有率(目安1%以上)

物質+年間取扱量

管理内容

換気設備、作業主任者、健康診断

作業記録、管理強化、長期保存

排出量の把握・行政への届出

対象判断方法

SDS+含有率

SDS+含有率(特に注意)

SDS+使用量管理

主なリスク

中毒・神経障害

発がん・重篤な健康被害

環境汚染

よくある誤解

該当しなければ安全

有機則より対象が少ないと思われがち

対象外なら無関係

 

上の表は有機則・特化則・PRTR法の違いについて整理したものです。

それぞれで明確な違いがあることがおわかりいただけると思います。

3つの法規制の概要について、以下で確認していきましょう。

 

有機則とは

有機則(有機溶剤中毒予防規則)は、有機溶剤による健康障害を防止するための規則です。

トルエンやキシレンなどが対象で、作業環境の改善や作業者の健康管理が求められます。

具体的には、局所排気装置の設置、作業主任者の選任、特殊健康診断の実施などが事業者の義務です。

塗装現場で使用される塗料の多くは有機溶剤を含むため、有機則は最も基本となる法規制となります。

一方で対象範囲が広いため、「該当しているが対策が不十分」というケースも多く、形式的な対応にとどまらない運用が必須です。

 

特化則とは

特化則(特定化学物質障害予防規則)は、発がん性などの高い有害性を持つ物質を対象とした規則です。

有機則よりもリスクの高い物質が対象となるため、より厳格な管理が求められます。

例えば、エチルベンゼンは特化則の対象物質であり、多くの塗料に含まれています。

特に注意すべきなのは、キシレンの中に不純物として含まれている場合です。

この場合、主成分だけを見ていると見落とす可能性があります。

作業記録の保存期間が30年と長い点も特徴であり、一度該当すると長期的な管理負担が発生します。

 

PRTR法とは

PRTR法(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)は、化学物質の排出量や移動量を把握し、行政に報告する制度です。

有機則や特化則が「作業者の健康管理」を目的としているのに対し、PRTR法は「環境への影響管理」が目的です。

対象物質であっても、年間取扱量が基準未満であれば届出は不要ですが、一定量を超えると報告義務が発生します。

そのため、物質の種類だけでなく、使用量の管理も必要となります。

 

自社で取り扱う塗料が法規制の対象かどうか調べる方法

自社の塗料がどの法規制に該当するかは、SDS(安全データシート)を確認することで判断できます。

  1. SDS(安全データシート)を確認する
  2. 成分情報(第3項)から対象物質を特定する
  3. 含有率から有機則・特化則の該当可否を判断する
  4. PRTR法の対象かどうかは「物質+取扱量」で判断する
  5. SDSの適用法令欄(第15項)で最終確認する

法規制の対象かどうか上記5つのステップで確認する方法を、日新インダストリーの製品である『ジンクプラスネオG』のSDSを交えながら以下で整理していきましょう。

 

1.SDS(安全データシート)を確認する

有機則と特化則の違いとは?PRTR法も含めたSDSによる判断方法

まずは対象となる塗料のSDSを入手し、最新版であることを確認しましょう。

SDSは法令判断の基礎となる資料であり、成分情報や危険性、適用法令が整理されています。

SDSの内容は更新されることがあるため、古いものを使い続けると法改正への対応漏れが発生する可能性があります。

成分が一部非公開となっている場合もあり、その場合は判断精度が下がる点にも注意が必要です。

 

2.成分情報(第3項)から対象物質を特定する

有機則と特化則の違いとは?PRTR法も含めたSDSによる判断方法

SDSの第3項では、含有されている化学物質とその濃度が記載されています。

この情報をもとに、有機溶剤や特定化学物質が含まれているかを確認します。

ここで重要なのがCAS番号の確認です。同じ名称でも複数の物質が存在する場合があるため、CAS番号で特定することで誤認を防ぐことができます。

キシレンの中にエチルベンゼンが含まれているケースなど、見落としやすいポイントにも注意が必要です。

 

3.含有率から有機則・特化則の該当可否を判断する

対象物質が特定できたら、その含有率を確認します。有機則は5%以上、特化則は1%以上が一般的な適用基準です。

『ジンクZ96』はキシレンが16%、エチルベンゼンが3.1%含まれているため、有機則と特化則の両方に該当することがわかります。

ただし、この数値はあくまで目安であり、条件によってはそれ以下でも対象となる場合があります。

また、混合物としての扱いや作業条件によっても判断が変わるため、単純な数値だけでなく全体としての評価が重要です。

 

4.PRTR法の対象かどうかは「物質+取扱量」で判断する

PRTR法は、物質の該当性に加えて年間取扱量が重要な判断基準となります。

対象物質であっても使用量が少なければ対象外となりますが、年間1,000kg以上使用する場合は届出が必要です。

そのため、日常的な使用量だけでなく、年間ベースでの管理が求められます。塗料の使用実績を記録し、定量的に把握することが大切です。

また製品量ではなく、「対象物質の量」で判断する必要があるため、注意しましょう。

 

5.SDSの「適用法令欄(第15項)」で最終確認する

有機則と特化則の違いとは?PRTR法も含めたSDSによる判断方法

最後にSDSの第15項を確認し、適用される法令をチェックしましょう。

この項目はメーカーの判断がまとめられているため参考になります。

実際の使用条件や取扱量によっては、記載内容と異なる場合もあります。

そのため、SDSの記載を鵜呑みにするのではなく、自社の使用状況と照らし合わせて最終判断を行うことが大切です。

 

塗装現場におけるリスクアセスメントの必要性

法規制への該当有無だけで安全性を判断することはできません。

実際の現場では、リスクアセスメントによる評価が不可欠です。

  • リスクアセスメントとは?
  • リスク管理は「個別管理」から「自律的管理」の時代に

2026年現在のリスクアセスメントの必要性も踏まえて解説します。

 

リスクアセスメントとは?

有機則と特化則の違いとは?PRTR法も含めたSDSによる判断方法

リスクアセスメントとは、化学物質の有害性とばく露の程度を組み合わせてリスクを評価し、必要な対策を検討する手法です。

「危険な物質かどうか」だけでなく、「どのように使われているか」がリスクを左右するポイントであり、有害性が低い物質であっても、密閉されていない環境で大量に使用すればリスクは高まります。

実は化学物質による労働災害の約8割は、有機則や特化則に該当しない化学物質で発生しているのです。

そのため、SDSでの法令判断だけでなく、実際の作業条件を踏まえた評価が必要不可欠となります。

こうしたリスク評価を現場で実施する際に活用できるのが、厚生労働省が提供している「CREATE-SIMPLE」というツールです。

化学物質の種類や使用量、作業環境などの条件を入力することで、ばく露リスクを簡易的に評価できます。

専門的な測定を行わなくても、一定の精度でリスクの高低を把握できるため、初めてリスクアセスメントに取り組む現場でも活用しやすい点が特徴です。

このように、リスクアセスメントは「法令に該当するかどうか」ではなく、「実際にどれだけ危険か」を判断するための重要なプロセスであり、今後の化学物質管理において欠かせない考え方となっています。

 

リスク管理は「個別的管理」から「自律的管理」の時代に

従来は有機則や特化則といった個別規制に対応することが中心でしたが、現在は事業者が主体的にリスクを評価し管理する「自律的管理」へと移行しています。

これは、すべての化学物質を法規制で網羅することが現実的でないためです。

2026年現在、労働安全衛生法で表示・通知の義務がある対象物質は約2,300種類ですが、産業界で使用される化学物質は7万種類を超えるとされています。

今後は、各事業者が自社の作業環境に応じて適切な管理を行う時代です。

そのためには、形式的な書類作成ではなく、現場の実態に即したリスク評価と継続的な改善が大切となります。

 

法規制対応の負担を減らす方法 

有機則や特化則に該当すると、設備投資や健康診断、記録管理などの対応が必要となり、事業者の大きな負担となります。

作業者の安全性にも考慮した『環境対応型』の製品を選べば、結果的に法規制対応の負担を減らせます。

例えば、キシレンやエチルベンゼンなどの有機溶剤や特定化学物質を含まない塗料を選定することで、有機則や特化則の対象外とすることが可能です。

局所排気設備の強化や特殊健康診断、長期の作業記録管理といった対応を簡略化でき、管理コストや運用負担の低減につながります。

さらに、これらの環境対応型塗料は低臭気・低VOCといった特長を持つ製品も多く、作業環境の改善にも寄与します。

作業者の安全性を確保しながら、法規制対応と現場負担の両方を軽減できる点が大きなメリットです。

 

特化則・有機則非該当のジンク塗料のご紹介

有機則と特化則の違いとは?PRTR法も含めたSDSによる判断方法

職場のリスク評価は、「個別的管理」から「自律的管理」に確実に移り変わっています。

日新インダストリーでは、溶融亜鉛めっきの補修に不可欠なジンク塗料を取り扱っていますが、上のグラフからもわかるとおり、環境対応型ジンク塗料『ジンクプラスネオシリーズ』の出荷が年々増えているのが実態です。

『ジンクプラスネオシリーズ』は、従来のジンク塗料の特徴はそのままに、作業者の安全性向上、環境への配慮を実現できる革新的な製品です。

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日新インダストリーは、補修用ジンク塗料の専門メーカーであり、塗料缶からエアゾールスプレーまで様々な色や亜鉛含有量の製品を取り揃えております。

製品カタログは以下よりダウンロードいただけます。

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※フォーム入力なしでダウンロードいただけます。
※お電話かフォームよりお気軽にお問い合わせください。

『ジンクプラスネオシリーズ』は、従来のジンク塗料の特徴はそのままに、作業者の安全性向上、環境への配慮を実現できる革新的な製品です。気になる方は日新インダストリーまでお気軽にお問い合わせください。

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