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豆知識
2026/02/02
水性塗料と水溶性塗料は違うもの?仕組みや使い分け方を解説

「水性塗料と水溶性塗料って、どちらも同じものでしょ?」と思っていませんか?

防食塗装の現場でも「水性塗料」と「水溶性塗料」という言葉を耳にする機会が増えています。

いずれも水を使った塗料というイメージから、同じものと認識している人が多いですが、実際には塗料の仕組みが大きく異なる別物です。

本記事では、水性塗料と水溶性塗料の違いを基礎から整理し、現場でどう使い分けるべきかをわかりやすく解説します。両者の違いを知りたい方は必見です。

 

水性塗料と水溶性塗料を混同しやすい理由

水性塗料と水溶性塗料が混同されやすい最大の理由は、どちらも「水系塗料」と一括りにされる点です。

見た目や取り扱い方法も似ています。

どちらも希釈は水で行い、臭気が少なく、溶剤系塗料に比べて引火性リスクが低いなどが特徴です。

こうした共通点だけを見ると「同じもの」と思われがちですが、塗膜が形成されるメカニズムがまったく異なります

メーカーや販売現場でも厳密な使い分けが説明されないケースもあり、「水性=水溶性」と誤解したまま現場に導入されることも少なくありません。

 

水性塗料と水溶性塗料の違い

項目

水性塗料

水溶性塗料

樹脂の状態

水に分散している

水に溶けている

塗膜の形成方法

樹脂粒子がくっついて塗膜になる

水が蒸発して析出する

イメージ

ドレッシング

海水、砂糖水

両者の決定的な違いは、樹脂が水に「分散している」のか、「溶けている」のかという点です。その他の違いについても上の表でまとめました。

  • 水性塗料の仕組み
  • 水溶性塗料の仕組み

それぞれの仕組みについて、詳しく見ていきましょう。

 

水性塗料の仕組み

水性塗料は、0.05~0.5μm程度の大きさである樹脂を水中に分散させた「エマルション系塗料」です。

塗布後、水分が蒸発することで樹脂粒子が接近し、最終的に融合して連続した塗膜を形成します。塗膜形成の流れをわかりやすくすると、以下のとおりです。

水性塗料と水溶性塗料は違うもの?仕組みや使い分け方を解説

  1. 水が蒸発する
  2. 分散していた樹脂同士が近づく
  3. 粒子が変形して融合する
  4. 塗膜になる

この塗膜形成のメカニズムは、※最低造膜温度(MFT)以上でのみ進行します。温度が低いままだと樹脂粒子が硬く、接近してもくっつかないと考えるとわかりやすいでしょう。

エマルジョン系である水性塗料の最大の特徴は、分子が長くて大きい樹脂をそのまま使用できる点です。

この特徴によって高性能で耐久性が高い塗膜が得られます。

※最低造膜温度(MFT):Minimum Film Formation Temperature:塗装して乾燥する際に正常な塗膜になるかどうかの境界温度

 

水溶性塗料の仕組み

一方の水溶性塗料は、樹脂が水に溶解した「溶液系塗料」です。

塗布すると水分が揮発し、樹脂成分が金属表面に直接析出して定着します。

水に溶けていた樹脂が水分が蒸発することで居場所がなくなって、表面に現れるイメージです。

「海水が乾いた後の塩」を想像するとわかりやすいでしょう。

この構造により、金属表面の微細な凹凸やピンホール、残存錆部にも入り込みやすく、密着性に優れるのが大きな特徴です。

防食補修や部分塗装では、この浸透性が塗膜寿命を左右します。

 

水性塗料はエアゾール化できない

水に樹脂が分散しているエマルジョン化した水性塗料は、エアゾール化できません。

理由は、樹脂が粒子として分散しているため、噴射剤(DMEやLPGなど)と混ざらずに相分離してしまうからです。

缶内で相分離が起こると、噴射のたびに成分比が変わり、塗膜性能が安定しません。

水系塗料のエアゾール製品の多くは、水溶性塗料をベースに設計されています。

 

水系塗料の技術的進化と実用性能

近年の水系塗料は、環境に対応するだけにとどまらず、防食性能や施工性の面でも大きく進化しています。

  • 乾燥性能の向上
  • 防錆性能の最適化
  • 施工性の改善


水系塗料の技術的進化と実用性能を詳しく確認しましょう。

 

乾燥性能の向上

水系塗料の弱点として長年指摘されてきたのが、乾燥が遅く、湿度の影響を受けやすいという点です。

屋外補修や季節工事では、乾燥不良による白化、密着不良、早期劣化が問題でした。

最新の水性塗料および水溶性塗料では、「乾燥時に塗膜をきれいにつなげる特殊な造膜助剤」や「樹脂同士が化学反応して結合する反応性樹脂」の採用により、従来の溶剤系塗料と遜色ない乾燥性を実現しています。

例えば、最新の水性塗料では、常温で2~4時間での指触乾燥が可能となり、実用上の問題はほぼ解消されています。

 

防錆性能の最適化

近年の水系さび止め塗料は、複数の防錆効果を組み合わせる設計が進んでいます。

例えば、金属表面でサビの原因となる成分を捕まえて無力化する防錆顔料(イオン交換型防錆顔料)と、水や酸素を物理的に通しにくくする防錆顔料(バリア型防錆顔料)の併用です。

両者を組み合わせることで、塩分や湿気が多い環境でも安定した防食性能を発揮します。

非常に細かい粒子の防錆顔料(ナノテクノロジーを応用した超微粒子顔料)を使うことで、塗膜のすき間が埋まり、より緻密な塗膜を形成可能です。

その結果、水分や酸素が金属まで到達しにくくなり、水系塗料でありながら高い防錆力を実現しています。

 

施工性の改善

近年の水系塗料は、塗りやすさの面でも大きく進化しています。

塗料の「流れ方」や「のび具合」を細かく調整する技術が発展したことで、刷毛やローラーでの塗り広げがスムーズになり、塗った跡が残りにくくなりました。

水系塗料でありながら、溶剤系塗料と遜色ない作業性を実現しています。

塗装中に発生しやすかった泡の問題についても改善が進んでいます。

泡がすぐに消えるよう設計された添加剤の採用により、塗膜表面に気泡跡が残りにくくなりました。

水溶性塗料では、塗料が金属表面になじみやすくなるよう調整されており、塗布した瞬間に素地へ広がり、細かな凹凸にも入り込みやすくなっています。

これにより、密着性が安定し、防食性能のばらつきを抑えることが可能です。

水性塗料と水溶性塗料は違うもの?仕組みや使い分け方を解説

水性塗料と水溶性塗料の使い分け方 

防食塗装における水性塗料と水溶性塗料の使い分けの基本は、理想的な施工条件が確保できるかどうかです。

使い分け方の基本は以下のとおりとなります。

  • 新設構造物には水性塗料
  • 補修・メンテナンスには水溶性塗料


それぞれの用途について、掘り下げて確認していきましょう。

 

新設構造物には水性塗料

新設の鋼構造物では、工場であらかじめ塗装できるケースが多く、水性の高性能防錆塗料が適しています。

工場内は温度や湿度を管理しやすく、塗装条件が安定しているため、水性塗料の性能を十分に引き出すことが可能です。

エマルション系のエポキシ防錆塗料は、防錆力と密着性のバランスに優れており、新設構造物の下塗りとして広く使われています。

塗膜が均一に形成されやすく、その後に施工する中塗りや上塗りともよくなじむため、重防食塗装でも安定した耐久性が得られます。

 

補修・メンテナンスには水溶性塗料

既設構造物の補修やメンテナンスでは、十分な素地調整が難しい場面も少なくありません。

そのような場合でも、水溶性塗料は樹脂が水に溶けた状態のため、金属表面の細かな凹凸やわずかな残存さびにも入り込みやすく、一定の防錆効果が期待できます。

補修工事は作業時間が限られることが多く、乾燥の速さも重要なポイントです。

水溶性防錆塗料は、水性塗料(エマルション系)と比べて乾燥が速く、短時間で次工程に移れるため、補修現場での作業効率向上につながります。

高所や狭い場所など、刷毛やローラーでの塗装が難しい箇所では、エアゾールスプレータイプの水溶性塗料が有効です。

均一に吹き付けられるため仕上がりのムラが出にくく、作業者の負担を軽減できる点も大きなメリットとなります。

 

エアゾールで使いやすい水溶性塗料『アクアシールド』

『アクアシールド』は、ガスとの相溶性が良い水溶性の樹脂を使用してエアゾール化に成功した防食補修用塗料です。

水溶性塗料でありながら、従来の溶剤系塗料と同等性能を誇ります。

エアゾールスプレーのため、部分補修、ボルト周り、裏面など、刷毛では対応しにくい箇所でも均一な塗膜を形成可能です。

水溶性ならではの密着性と、防錆成分の効率的な働きにより、補修後の耐久性を確保しつつ、現場作業の省力化にも貢献する製品です。

水性塗料と水溶性塗料は違うもの?仕組みや使い分け方を解説

商品ページ:変性エポキシ樹脂塗料『アクアシールド』

 

構造物の防食補修なら日新インダストリーまでお問い合わせください

水系塗料と一括りにされる水性塗料と水溶性塗料ですが、それぞれで特徴が異なり、適した用途にも違いがあります。

選定を間違えると、構造物の信頼性にも影響が出るため、用途に合わせて塗料を選ぶことが大切です。

 

もし構造物の防食補修を行うのであれば、日新インダストリーまでお気軽にお問い合わせください。

本記事で紹介した『アクアシールド』を含めて、最適なジンク塗料をご提案いたします。

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