Niche within a niche(ニッチ中のニッチ)+Laboratory(研究室)。この2つを組み合わせた造語で、ニッチ中のニッチ製品を研究室レベルで製造販売することを目的としています。 ニッチ製品のため大量生産は行わず、必要最低限の数量で製造しています。当社はファブレス企業で研究開発は自社で行いますが、製造は全て委託しており、製品によってそれぞれの委託先工場の設備を利用するため、多種多様な製品を世に送り出すことができます。この仕組みを軸に、溶融亜鉛めっきで起こるニッチすぎる問題に1つずつ取り組み、溶融亜鉛めっきの普及の手助けをしたいと考えています。
こんにちは!日新インダストリー株式会社です。
先日、当社代表取締役社長の川西が寄稿した記事が日本溶融亜鉛鍍金協会誌「JGA NEWS Vol.88」へ掲載されましたのでご紹介いたします!※日本溶融亜鉛鍍金協会様に転載許可いただいております。
「NiNLabシリーズ」の5製品全てを掲載いただきましたので、かなりボリューミーです!
そのため、3回に分けてご紹介させていただきます。
また、いつもとは違った雰囲気の川西社長の文章を読むことができる貴重な記事となっておりますので、見応えしかありません!川西社長ファンの方も、そうでない方も、お時間がある方は、ぜひ全編読破してくださいね。(秘書より)
1.不めっき塗料「めっきガード」編 ◀本日はこちらです!
2.「白さび除去剤」編
3.「鋼管ニス剥離剤」/「ジンクパテST」/「ヒートジンク」編
以下、引用元:「JGA NEWS Vol.88」,日本溶融亜鉛鍍金協会,2023年8月,24ページ~30ページより一部転載
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■日新インダストリーの「 NiN Labシリーズ」とは
Niche within a niche(ニッチ中のニッチ)+Laboratory(研究室)。この2つを組み合わせた造語で、ニッチ中のニッチ製品を研究室レベルで製造販売することを目的としています。
ニッチ製品のため大量生産は行わず、必要最低限の数量で製造しています。当社はファブレス企業で研究開発は自社で行いますが、製造は全て委託しており、製品によってそれぞれの委託先工場の設備を利用するため、多種多様な製品を世に送り出すことができます。この仕組みを軸に、溶融亜鉛めっきで起こるニッチすぎる問題に1つずつ取り組み、溶融亜鉛めっきの普及の手助けをしたいと考えています。
■溶融亜鉛めっき用不めっき塗料「めっきガード」
商品の詳細はコチラをクリック▶「めっきガード」製品ページを見る
安全性・作業性・性能を兼ね備えた水性1液タイプの溶融亜鉛めっき用不めっき塗料です。
溶融亜鉛めっき後に溶接する場合、加熱時の亜鉛蒸気の影響を避けるため、めっきを剥がす必要があります。
溶接箇所の不めっき処理については、もう30年以上同じ試料が使用されており、不めっき処理そのものを知らない業者も数多く存在します。めっきを剥がすのは容易ではなく、めっきを削る作業には時間がかかります。
そのため、不めっき処理が必要となりますが、不めっき塗料に関しては今の時代に沿って開発が続けられているわけではありません。
現在、塗料業界では作業環境規制が必須になりつつあります。
めっきガードは作業環境規制に非該当な水性1液タイプで、塗料タイプとペーストタイプの2種類をラインナップ致しました。溶融亜鉛めっきの前処理である脱脂工程・酸洗工程に耐える新世紀の不めっき塗料です。
●従来の不めっき(マスキング)処理とは
従来の不めっき処理に使用されている塗料は、塗料液と硬化剤のエポキシ系2液タイプが主流です。これは、エポキシ樹脂の耐薬品性塗料を利用しており、一般的な塗料のため、価格も比較的安価で密着性も強く、塗料液と硬化剤の混合比率を間違えなければ、不めっき処理は成功します。
配合比率に沿って塗料液と硬化剤を混合したにもかかわらず、不めっきにならない場合、原因は塗装前の脱脂不良と考えます。鋼材には油分があり、脱脂作業をおろそかにすると、塗れているように見える塗膜でも、実際は塗料が乗っかっているだけという状態になり、溶融亜鉛めっきの脱脂工程で塗膜が剥がれる現象になります。
他にも、2液タイプの耐薬品性塗料に耐熱性を付与させた製品で不めっき処理を行う場合もあります。溶融亜鉛めっき工程の脱脂工程から最終めっき工程まで塗膜を残存させることで不めっき処理を行います。
この場合の問題点となるのは、もちろん前述の塗料液と硬化剤を配合する手間もありますが、めっき工程後にも塗膜が残存することによる、塗膜の除去作業が挙げられます。ガムテープを使用して不めっき処理を行うケースもありますが、ガムテープもしっかり密着させて貼らないと、隙間から脱脂液と酸洗液が流れ込み、めっきが付着します。ガムテープは平面の不めっき処理には有効ですが、細かい箇所の不めっき処理には不向きです。めっき工程で火が出ることもあるため、危険が伴います。
従来の不めっき塗料の問題点
■ 溶剤系の2液タイプが主流で、塗料液と硬化剤の混合が必要
■ 塗装前の脱脂不足や2液塗料の混合比率ミスによる不めっきの失敗
■めっき工程後の残存塗膜の除去作業
■ガムテープがピッタリ貼られていないことによる不めっきの失敗
▲不めっきトラブルあるある漫画。縦読みでどうぞ。
●「めっきガード」は溶融亜鉛めっき専用の不めっき塗料
溶融亜鉛めっきは、鉄素地に直接亜鉛を溶着させることで合金層を形成し、亜鉛と鉄が金属結合し、長期的に錆や腐食を発生させない工法です。
つまり、鉄の地肌を露出させず、黒皮のままで残すことができれば、めっきは付着しません。
溶融亜鉛めっきの処理工程は、脱脂工程で鋼材の表面に付着している油類を除去し、酸洗工程で表面のさびやスケールなどの酸化物を除去し鉄素地を露出させます。この脱脂工程と酸洗工程に耐え、次のフラックス処理も耐えれば鉄素地は露出しないことになり、めっきは付着しません。
この原理を利用したのがめっきガードです。この耐薬品性を水性塗料で実現しました。耐薬品性に優れた塗料でありつつ、2液タイプのエポキシ樹脂塗料と同程度の密着性を付与することにより、開先加工面でも不めっきが可能となります。
めっきガードは一般に使用されているエポキシ樹脂系の不めっき塗料と同等以上の密着性を有しております。プルオフ試験を行なった結果を表1.に示します。各製品をDry膜厚50 μm± 3.0 μmとし、各製品塗布後、168 h後にドリーを装着し、その後30 h後にプルオフ試験を行いました。また、塗料の耐熱性を200 ℃程度にすることで、めっき工程後に塗膜が残存しないように設計しました。こうすることで、前処理に耐え、灰落とし作業も簡単な塗膜を完成させました。
黒皮鋼板
磨き鋼板
エポキシ樹脂系塗料
3.73mPa
1.41mPa
めっきガード
5.88mPa
2.15mPa
めっきガードペースト
4.25mPa
1.88mPa
▲表1.不めっき塗料として一般的に使用されているエポキシ樹脂とめっきガードの密着性比較
●「めっきガード」で不めっき処理を成功させるコツ
めっきガードは1液タイプのため、面倒な塗料液と硬化剤の混合の手間がありません。必要な分だけご使用いただくことができ経済的です。また、水性タイプのため、鋼材に油分があると塗布することができません。シンナーなどで脱脂作業を行っていただき、本製品を塗布していただく必要があります。そうすることで脱脂不足による不めっき失敗の原因を取り除くことができます。そして何より大事なことは塗料の膜厚を確保する必要があります。
脱脂工程と酸洗工程を耐え、鉄素地を露出させないためには、乾燥状態で50μm以上を確保する必要があります。めっきガードの塗料タイプであれば、2回以上の塗布が必要です。2回塗りが面倒だと言う方のために、ペーストタイプをご用意しました。ペーストタイプは1回塗りで100 μm以上を確保することができるので作業性向上に寄与します。
ペーストタイプをうまく使うとネジ穴部の不めっき処理も可能となります(下記図1.参照)。ネジ穴部の凹凸をすべてペーストタイプで覆うように塗布しておくことで、めっき後にネジ穴を不めっきにすることができます。その場合も塗布前の脱脂作業を入念に行ってください。
従来は、捨てボルトや耐熱粘土を使用して不めっき処理を行っていましたが、前処理にも後処理にも手間がかかっていました。めっきガードは作業時間の短縮が可能で、作業時間を短縮した分、他の作業に時間を有効活用できると考えています。
▲図1.ネジ部の不めっき例
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コラム「日本溶融亜鉛鍍金協会が発行している協会誌「JGA NEWS Vol.88」に「NiNLabシリーズ」が掲載されました!【2.白さび除去剤編】」 に続く
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